NABで一目惚れしてしまったキヤノンのXC10が明日、6月25日の発売を前にいよいよお店に来ましたので、早速レポートすることにしました。
手にとってみてまず感じることはすごく持ちやすいです。小さいからということもあるんですが、カメラを構えた時に手のひらに当たる部分の面積が大きくてしっかりとホールドできる感じです。
カメラ底部は平らになった部分の面積が比較的広いので三脚に乗せても安定します。
小型ビデオカメラやデジタル一眼にありがちな、三脚にセットした時のバランスの悪さもありません。小型ビデオカメラでは右手側のグリップでカメラを構える感じですがXC10はデジタル一眼のように左手でカメラをホールドするというイメージですね。もちろんグリップも付いていてビデオカメラと同じように構えることも可能です。このグリップは回転することもできるようになっていていろんなアングルでの撮影に対応できるようになっています。LCDモニターもそうした撮影に対応できるようにティルトできます。
LCD部分は上下に90°ほどティルトできるのでローアングルやハイアングルでの撮影でもモニターが見やすいです。
このモニターに取り付けできるファインダーユニットも付属していて接眼レンズを覗いて撮影するようなスタイルをとることも可能です。このファインダーユニットはちょっと凝った仕組みになっていてミラーでLCDの画像を反射させて少し高い位置から覗けるようになっています。単にLCDを覆ってルーペを付ける構造のほうが簡単で、レンズと目線の軸が一直線になるので、その方がいいのでは。って思ったんですが、そうすると左目で周囲を確認することが難しくなってしまいます。そんなことを考慮した構造なんですね。
付属のファインダーユニットを装着してみました。
ファインダーユニットはミラーが組み込まれた作りになっています。
フォーカスやズームもマニュアルでの操作が考慮されていてちゃんと両端で止まるようになっています。鏡筒には目盛りは刻まれていませんが、LCDに表示されるようになっています。全体としてはデジタル一眼とビデオカメラのイイトコどりしたような感じですね。
レンズは35mmフィルムカメラ換算で27.3-273mmの4K対応光学ズームレンズで、広角から望遠までかなりの範囲をカバーできるようになっています。10倍最短撮影距離はズーム全域で約50cm、ワイドマクロ時約8cmで、絞りは8枚羽根虹彩絞りを採用しており、画像のクオリティもかなり高いですね。インナーフォーカス方式なので、フォーカスによるレンズ全長の変化はありませんが、ズームではかなり長さが出てきます。ドローンやジンバルなどに搭載する場合は、バランスに注意する必要がありそうです。
レンズはズームするとかなり全長が長くなります。
明るさはF2.8で、ビデオカメラのレンズとしてはちょっと暗めな印象ですが、1.0型CMOSセンサーを採用していることもあり感度が高いので実際の使用時では気になることはないでしょう。実際オートで室内撮影してもノイズも少なくきれいな画像でした。フィルター径はΦ58mmなので、フィルターを使う場合も入手が容易です。
35mmフィルムカメラ換算で27.3-273 mmの光学10ズームレンズ。フィルター径はΦ58mm。
4Kとなるとフォーカスもシビアになりますが、フェイスキャッチ&追尾やマニュアル時ではフォーカスアシスト機能があり、ピント合わせは比較的楽です。特にフェイスキャッチによるオートフォーカスは結構優秀で顔が横を向いてもかなり追従してくれます。任意のところをLCDモニター上でタッチすることでその部分を追従してフォーカスすることもできますが、フェイスキャッチほど粘り強く追従してくれませんでした。対象物の形状や色にも多少影響あるようですね。マニュアルフォーカスではLCD画面の任意のところを2倍に拡大する機能があって、3インチという画面サイズですがわりとフォーカスはきちんと取れます。
記録は4KではCFast2.0メモリーに記録するようになっていて、XF-AVCコーデックで305Mbpsでの記録となっています。HDはSDメモリーに記録するようになっていて、CFast2.0には記録できない仕様となっています。4KとHDの同時記録も対応していません。4KとHDでは記録媒体がはっきりしているので、管理的にはいいですが、4KとHDを混在して撮影する場合は必ず2種類のメモリーを必要とします。
4KはCFast2.0メモリーにHDはSDメモリーに記録されます。
もっともCFast2.0のメモリーは現状ではかなり高価ですから、そこにHD記録というのももったいないですよね。個人的にはJVCやパナソニックなどでSDメモリーに4K記録できるカメラがありますので、100-150Mbpsの記録モードを追加してSDメモリーに4K記録できるようになっていたらいいのになって思いました。ファームアップで対応できたらぜひともお願いしたいですね。
最近のカメラはWi-Fiを搭載していて各種設定やリモートができるモデルが多くなってきました。カタログやWebに設定項目やリモートできる項目がなかったので、さっそく試してみました。本体をマニュアルにしてWebブラウザーからXC10で設定したアドレスを指定するとBrowserRemoteが表示されて、画面表示やアイリス、フォーカスなどの設定のほか、バッテリーのインジケーターや記録モードなどが表示されます。Wi-Fi接続なので、若干のディレーがありますが、カメラ側の各種設定が一覧して確認できるのはいいですね。ドローンなどに搭載したりで、カメラのLCDモニターの確認が難しい場合などに有効な機能だと思います。
カメラのWi-Fi設定をしたところです。
スマホ側もアドレスやパスワードを設定します。
BrowserRemoteが表示されて、画面表示やアイリス、フォーカスなどの設定のほか、バッテリーのインジケーターや記録モードなどが表示されます。
ほかにもXC10にはSlow & Fastモーションやレンズシフト式と電子式を併用した手ブレ補正機構など様々な機能が搭載されているほか、12ストップのダイナミックレンジやワイドDRガンマなどにも対応しています。性能はもちろんですが小さなカメラに沢山の機能が凝縮して搭載されていて、使い勝手もよく考えられたカメラといえるでしょう。
価格的にも手頃なお値段で、サブカメラとして使いたいと思う方も多いと思います。そこでちょっと疑問に思ったのが色域です。通常4Kの色域は2020ですが、カタログにもWebにも記載がありません。唯一ワイドDRガンマの解説のところに709という記述がありますが、色域とは説明されていませんでした。XC10を持ってきて頂いたキヤノンの営業の方にお伺いしたところ、たぶん709だろうということでした。この件は回答まちとなっていますので、返事がありしだい追記させていただきますね。
追記(6月25日): 色域はBT.709対応とのことです。
各店デモ機をご用意する準備をしていますのでぜひぜひお手にとって見てくださいね。
追記(7月2日):
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