ビデキンちゃん行く ~InterBEE2016~
4K対応のカメラがすでに市場に出いて、まだ番組の数が限れていますが衛星放送やネット配信でも4K映像が楽しめるようになってきています。放送業界をリードするNHKでは8Kなんかもことあるごとに映像を披露してますね。さて、そんな状況の中、放送機器はどのようの進化していくのでしょうか。そんな現状を踏まえながらInterBEEにいってきました。
相変わらず会場はたくさんの来場者であふれかえっています。今年は8個ある会場のうち7つをつかってメーカー各社が様々な製品を出展しています。そんななかで、目につくのは8KとHDRでした。ソニーさんやパナソニックさん、キヤノンさんなどほとんどのメーカーがカメラやモニターなどで対応した製品を出してました。
ソニーさんは放送局関係の製品に力を入れていたようで、スタジオカメラHDC-4300やスイッチャーXVS-8000のほか、PXW-X200によるワイヤレスソリューション、ENGカメラPXW-X400などを出展していました。ほかにも大判センサーを搭載したPXW-FS5やPMW-F55なんかもありましたが、やはり注目は新製品の4K60p対応カメラFS7 IIでしょうか。FS7 IIは来年発売となっており、国内では初披露となります。
パナソニックさんはNABで発表していた4KカムコーダーAG-UX180が出展されたいたほか、来年春発売の新製品でPOVCAMの4KモデルAG-UMR20と医療用のモデルとして白いボディのAG-MDR25が出ています。ボディの色が違うだけでなく手術の撮影に適した色補正や本体の防水化が図られているそうです。あと8K対応の55型液晶ディスプレーの試作機が出ていて8Kの時代の到来を感じました。
JVCケンウッドさんは、GY-HM200BBによるスポーツ中継ソリューションや4KカメラレコーダーGY-LS300CHによる4K HDRシステムソリューション、HD PTZリモートカメラKY-PZ100を使ったIPスタジオソリューション、朋栄さんとのコラボレーションでメディアアセットマネージメントシステムなどを出展していました。JVCさんは放送機器としてはかなりマニアックな印象です。
キヤノンさんは、最近発売になった4K60p撮影ができるデジタル一眼レフカメラEOS-1D X Mark IIや4K30p撮影ができるEOS 5D Mark IVのほか、新製品のCINEMA EOS SYSTEM EOS C700 や業務用ディスプレーDP-V2420、 参考出展の8Kカメラなどを出品していました。 ちょっと意外だったのはEOS C700のデザイン。今までのCINEMA EOS SYSTEMとは打って変わって普通のカメラっぽいデザインを採用しています。ほかに8Kのコーナーがあって試作品のカメラやディスプレーがでていました。
ブラックマジックデザインさんは、9月のIBCで発表したDeckLink Mini Monitor 4KやDeckLink Mini Recorder 4K PCIeキャプチャーカード、Teranex AVのほかBlackmagic Video Assist 4Kや URSA Miniのファームウェアアップデート、DaVinci Resolve 12.5などが新しい製品となりますが、業界人の話題はIBCで発表されたFairlight社とUltimatte社の買収でした。Ultimatteはその名がクロマキーの代名詞になるほど業界で知名度があったんですが、最近は日本ではあまりパッとしていませんでした。もちろんNABとかではちゃんとブースを出していて製品もあるんですよね。今後同社の製品とどう絡んでくるんでしょうか。楽しみですね。
いまではドローンといえばDJIさんといえるほど有名ですが、カメラ関係でもOsmoを出してから注目されています。今回は業務用空撮ドローンInspire 2やOsmo Mobileなどを新製品として出展していました。Osmoはカメラ部分とハンドグリップ部分、その他アクセサリーなどを組み合わせて、スマホでの撮影から4Kまで様々な用途で使用できるのが、うけているようです。もちろん恒例となっている、ドローンの実演コーナーもありました。
銀一さんは、ワイヤレスマイクRODE社のニュースシューターやSteadicamの新製品ライトウェイトモデルAEROのほか、Freefly MoVI・DJI RoninシリーズとドッキングするSteadimate、GoProやニコンのアクションカメラを出展していました。
ローランドさんはHDMI対応HDビデオスイッチャーV-1HDのほか、同じデザインの3G-SDI対応スイッチャーV-1SDIが新製品として出ています。ローランドさんはAVスイッチャーをいくつか出していますが、V-1SDIは究極の小型化といえそうです。ブースではライブスイッチャーとして三脚に取り付けたりして、現場で手軽にマルチカメラスイッチングできることをアピールしていました。
IDXさんはDUO-CシリーズDUO-C190およびDUO-C95といったVマウントシリーズバッテリーの小型軽量タイプと新モデルのチャージャーおよびDタップやXタップから充電できる小型のチャージャー、ソニーさんの小型ビデオカメラに対応した各種容量のバッテリー、韓国のYEGIN社の小型LEDライトなどを出展していました。
マンフロットさんは小型フルードビデオ雲台befreeという小型三脚が新製品となっています。あと、すでに発売となっているスライダーやDIGITAL DIRECTOR、LEDライトLykos、小型クレーン、各種バックなどが出展されていました。
平和精機さんはデジタル一眼や小型ビデオカメラ用の三脚としてTH-X三脚システムとモノポットタイプのHFMPが新製品として出ていました。この2機種は同じヘッドが採用されていて、モノポットと三脚を付け替えて、撮影状況に応して組み替えて使うことができるようになっています。モノポットといっても地面に接地する部分が小さな三脚状になっていて、手を放しても自立するように設計されています。カメラを傾けるときは軸の部分をつま先で押さえてロックを外すと自由に傾けることとができるようになっています。
今年のInterBEEは要望を受けて改良された後継機種が目立っていたように思います。
メーカーさんに直接説明を受けたり、ここを改善してほしいといった機会はあまり無いですが、こういう機会にユーザーさんから受けた意見を意外と取り上げてくれているのだなという印象でした。
VRなど予想もしていなかった商品も各社から発表されていたりと今後も目が離せないですね!
ビデキンちゃんレビュー ~Zunow 4K対応ワイドコンバージョンレンズWFK-85~
もう一歩寄りたいとか、より広い範囲をカバーしたいときワイコンは強い味方になってくれます。以前はカメラメーカーが純正品として用意していることが多かったのですが、広角側が30mm(35mmカメラ換算)を切るレンズを搭載しているカメラでは、カメラメーカー側が用意することはあまりなくなってきました。そうはいっても現場によっては必要になるわけで、サードパーティー製のワイコンが気になります。今回はソニーのPXW-X70やPXW-Z150などの4Kカメラのほか、HXR-NX3やHXR-NX5R、PMW-160などのHDカメラに適合する0.8倍 4K対応ワイドコンバージョンレンズZunow WFK-85を取り上げたいと思います。
ZunowのワイコンWFK-85はHXR-NX5RやPXW-Z100、PMW-160に適合した72mmフィルター径ですが、62mmフィルター径のPXW-X70、PXW-Z150にも装着できるように62-72mmのステップダウンリングがセットになっているほか、角型ラバーフード、レンズポーチがセットになっています。ちなみにフードには105mmのフィルターを装着できるようになっています。
純正のワイドコンバージョンレンズとしてPXW-Z150のカタログなどにはWFK-85と同じ0.8倍のVCL-HG0872Kが載っていますが、4x5角型フィルターを装着するフードとのセットになっており、HD時代の設計のワイコンです。また、質量もレンズ単体で550gとなっており、60gほど重く、フードなどをセットすると手持ちで手軽に撮影するには少々難がありそうです。なので、4K対応のWFK-85は貴重といえますね。
さて今日はとてもお天気がよかったので、東京ショールームの裏手にある新宿御苑にお邪魔してじっくりテストして来ました。今回は使ったカメラは新製品のHDカメラHXR-NX5Rで、ワイコンは直接装着することができます。外観的には結構一体感があって、ちょっと見ではワイコンを装着しているようには見えませんね。ラバーフードは撮影に夢中になって少しくらい何かに当たっても安心です。この状態でもレンズ側が重たくなってバランスが悪くなるようなこともほとんどありませんでした。フードがラバータイプでワイコンにかぶさるようになっているので、全長が抑えられているのとワイコン自体の質量も500gを切っているからだと思います。
まずは、一般的な風景をワイド側いっぱいで撮影してみましょう。ありがちな歪曲や色のにじみも感じられませんでしたし、周辺の解像度や流れもないと言っていいでしょう。近影から遠景まで、連続してその傾向は変わっていないようです。
今度はテレ側いっぱいにしたところです。本体のレンズ性能にもかかってきますが、色にじみや二線ボケなどが出やすいとことです。クレーンやビルを撮影してみましたが、なかなか優秀です。クレーンや手すりの鉄骨もしっかりと描写していますね。ビルの遠景撮影でも同様で、歪曲などもほとんどありませんでした。ということで撮影中ワイコンを付けていることを時々忘れるほどでした。
最後は逆光での撮影です。ワイコンと本体のレンズとの間で反射があるとレンズフレアやゴーストによるコントラスト低下や本体レンズ以外のゴーストがでることがあります。ギリギリゴーストが出ない逆光と極端に出ている状態で撮影してみました。本体レンズで撮影した時とワイコン装着時とではその差はほどんどないといっていいでしょう。
ワイコンはフィルター径さえ合えば装着可能ですが、4Kとなるとその描写が気になるところです。また、4K対応のカメラではHDの時代のカメラに比べてセンサーのサイズも大きくなっていることが多いので、HD時代のワイコンではケラレなど不都合が生じることがあります。せっかく4Kで撮影するのですから、4Kの画質を生かした撮影をしたいですね。
注意事項としまして、今回は手振れOFFで撮影しましたが、HXR-NX5Rでご使用の際に手振れをONにする場合は、アクティブモードでのご使用に限ります。スタンダードモードでは若干のケラれが発生することがあるのでご注意ください。
ビデオ近畿ではこのZunow WFK-85を特価で提供中です。東京ショールームにはデモ機も用意していますので、ぜひ手にとって見てくださいね。(各店に移動することもあるので前もってご連絡ください!)
■ Zunow 4K対応ワイドコンバージョンレンズ WFK-85
・ ラバーフード(105mmフィルター装着可能)
・ レンズポーチポーチ
・ 72→62ステップダウンリング(ドライバー付)
・ 重量:490g
・ 価格:79000円(税抜)
ビデキンちゃんレポート ~TRIAD VPA-10L~
カメラを三脚に装着してしまうと取り外しに手間のかかることが多いですよね。機種によっては、ワンタッチで着脱できる製品もありますが、カメラの前後バランスをとることができなかったりします。ショルダータイプのカメラでは専用の三脚アダプター(俗にいうフネ)を使っていましたが、小型ビデオカメラではこうした専用のアダプターは用意されていません。今回紹介するのは、小型ビデオカメラをショルダータイプのカメラのようにワンタッチで着脱可能にするためのアダプターTRIAD VPA-10Lです。
TRIAD VPA-10Lって実はすでに発売されている製品の改良機種で、従来製品との違いはカメラ側のアダプターが薄型になったほか、2つのネジを使ってしっかりと固定できるようになった製品となります。カメラ側は通常ネジ穴以外にカメラが回らないようにピンの穴がありますので、実質3点止めということになりますね。薄型になったので、重さも少し軽くなっています。価格は定価でプレートのみだと12000円(別)、アタッチメントを含むキットで28000円(別)です。従来品はプレート15000円(別)、キット30000円(抜)でしたので、お安くなっています。ビデキン価格ではそこからさらにお安くなってます。
・TRIAD VPA-10Lって
製品はカメラ側のプレートと三脚側に取り付けるアタッチメント、大ネジ・小ネジ変換アダプターがセットになっています。カメラ側のネジ穴は、小ネジとか細ネジといわれる1/4と大ネジとか太ネジといわれる3/8とがありますが、業務用のカメラの場合は、ほとんどの機種がネジ穴は2つあって大ネジと小ネジの2つになっていますね。カメラの重量とかバランスとかでカメラメーカー側で決めているようです。ちなみにネジの間隔は規格で決められています。いくつか実際のカメラを見てみましょう。ソニーさんのPXW-X200は2つとも小ネジですが、PXW-FS5およびPXW-Z150は大ネジと小ネジ、パナソニックさんのAG-DVX200はショルダータイプのカメラということもあり大ネジと小ネジ、キヤノンさんのEOS C100 C300 C500は大ネジと小ネジですがこの部分のプレートはオプション扱いで交換可能です。
・使ってみましょう
実際の装着は説明するまでもない思いますが、念のため。カメラにTRIAD VPA-10Lのプレートを取り付けます。このとき、カメラ側のネジ穴が大ネジの場合は付属の大ネジ・小ネジ変換アダプターを取り付けておきます。ちなみに旧タイプは蝶ネジでしたが今回の新タイプは通常のネジになっているので、装着にはドライバーが必要です。三脚側にTRIAD VPA-10Lのアタッチメントを取り付けます。アタッチメントには小ネジ2つと大ネジ1つがあるので、ほとんどの三脚でネジ2本を使って固定できます。後はカメラを乗せて前方にスライドさせるとロックされます。取り外しはサイドのレバーのロックを外すだけとなっています。ソニータイプの三脚アダプターの先端部分と互換性があるので、TRIAD VPA-10Lはそのまま装着できますので、手持ちのフネを使い回しも可能です。ただ、TRIAD VPA-10Lは小さいので装着したままでも、三脚ケースに収納できますが、フネの場合は取り外しが必要でしょう。
実際に使ってみるとソニータイプの三脚アダプターと同じ操作なので、使ったことのある方は慣れ親しんだ操作となりますし、初めての方でも特に問題はありません。なによりもカメラ側も三脚側も取り付けた状態でも収納に困らないというのは、ポイント高いと思います。三脚側がスライドプレートになっている機種が多いですが、このタイプの場合装着するたびに前後バランスを見なくてはなりませんが、TRIAD VPA-10Lを装着しておけば、最初にバランスをとるだけで済みます。
この手の製品は実際に手にとって操作してみないことには、頭ではわかっていても細かなフィーリングまではわからない部分もあると思います。店頭にてデモ品をご用意してありますので、興味のある方はお声かけいただければ、カメラや三脚の機種なども含めて対応できることもあるかと思います。
(デモ機は各店移動することもありますのでご来店前にご連絡ください!)
各社のカメラの三脚ネジ穴部分を比較してみました。
VPA-10LKIT
ビデキン販売価格 ¥25,200(別)
http://www.videkin.com/products/detail.php?product_id=3963
VPA-10L(プレートのみ)
ビデキン販売価格 \10,800(別)
http://www.videkin.com/products/detail.php?product_id=4124
ビデキンちゃんが行く ~ケーブル技術ショー2016~
7月28、29日有楽町にある東京国際フォーラムで開催されたケーブル技術ショーにいってきました。5-6年前までは池袋のサンシャインシティや東京ビッグサイトでコンテンツホルダーも含めて開催されていていました。会場規模も大きくなり、最近は技術系とコンテンツ系が分かれて開催するようになったようですね。ちなみにコンテンツ系は9月30日に名古屋ガーデンパレス、10月1日からは栄のオアシス21で開催されるそうで、一般の視聴者が対象になり、けーぶるGIRLSというユニットとともにアニメキャラクターによるショーなどが開催されるようです。
一方、ケーブル技術ショーは、カメラなどの撮影関連機材やセットトップボックス、光ケーブルなどハードウェア中心の展示会になっています。ケーブルTVって基幹部分はほとんど光ケーブルになっていて、すでにインターネットのサービスやIPTV、地域の防災インフラなどを支えるまでになっています。また、公共の電波を利用する放送と違ってある意味ローカルルールが通用する世界なので、4K8K放送など、最新の技術を取り入れることもいち早く対応できます。ということで、ケーブル技術が拓く!未来のCATVネットワーク社会が今年のメインの開催テーマとなっていて78社が出展していました。
CATVは元々難視聴対策や地域の情報を発信する自主放送など映像中心にスタートしたわけですが、インターネットサービスも開始するようになってからはセキュリティーや防災、高齢者への対応など多岐にわたるサービスを提供できるようになってきました。それに伴って様々なハードウェアが各社から出展されているんですが、ここでは映像制作系を中心に見ていきましょう。 まずは、カメラやモニターTV、セットトップボックスなど総合的に扱っているソニーさんとパナソニックさんです。ソニーさんは、ショルダータイプの4Kカメラや超高感度の業務用カメラを参考出展として出品したほか、XDCAMメモリーカムコーダーPXW-Z150、番組自動送出システム、業務用の非常電源システムなどを出展していました。
パナソニックさんは例の赤いカメラDVX-200のほか、NABで発表し、国内では秋に発売予定となっている4K対応カメラAG-UX180、4K対応のレコーダー内蔵セットトップボックス、4K Hybridcast、ケーブルテレビ局向けホームネットワークシステム 、参考出展の8K対応のケーブルテレビ用伝送システムなどを出展していました。パナソニックさんは送出設備系やセットトップボックスなどのクライアント機器に力を入れている印象でした。
さて、ほかにもレコーダーや小型スイッチャー、モニター、無線伝送装置、各種コンバーターなど様々な周辺機器も出品されていましたが、すでにHDではなくて4Kや8Kがメインになっていましたので、そのあたりを中心に見ていきましょう。