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2017年5月23日 掲載

ビデキンちゃんが行く ~NAB2017 VITECグループ編~

最後は三脚や照明など総合的に扱っているVITECグループのブースを見てみましょう。カメラが小型軽量化するにつれ三脚も小型化していきますが、ドローンが出てきてから状況が少し変わってきたように思います。ドローン自体もそうですが、その派生技術としてジンバルを利用したカメラサポートシステムが出てきたことが大きいと思います。

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ドローンのメーカーというとDjiさんが有名ですが、つい最近まで大小さまざまなメーカーがドローンを作っていてGoProのような超小型カメラからREDのようなカメラまで様々なカメラに対応したカメラサポートシステムが出てます。最近こうしたメーカーも淘汰されて少しづつ少なくなってきているようですね。


ビデオなど動画を撮影する場合三脚は必須アイテムといえますが、視点を固定した撮影よりステディカムのように動的に被写体を追える撮影スタイルが主流となりつつあるみたいです。三脚メーカーさんも色々工夫していてジンバルやクレーンやスマホ用のものとか様々な形態のカメラサポートシステムを手掛けるようになってきました。ただ三脚の機構部分が変わることはほとんどなかったんですが、今回のNABでManfrottoさんからカウンターバランスに窒素充填のシリンダーを採用したManfrotto Nitrotech N8モデルが発表されました。耐荷重8kgまでとなってますが、このクラスのヘッドとしては軽量化されているそうです。

Manfrotto Nitrotech N8。ヘッド前方のノブがカウンターバランス調節で無段階設定できます。左の大きなダイアルはティルトのドラッグ調節とロックで径が大きいので調節しやすいですね。

窒素ガスが充填されたシリンダーがカウンターバランスのバネになります。むき出しなのはちょっと気になりますね。

スライドプレート式ですが、横のロックレバーを操作すればワンタッチで着脱できます。


最近の照明はすべてといっていいほどLEDになっていますがLED素子を沢山ならべたフラットパネルタイプのものが多いです。LED素子単体の光量があまり大きく取れなかったのが原因のようですが、最近はパワーLEDといって1つのLED素子でも大きな光量が出せるものが出てきたのでLEDのスポットライトも増えてきました。LEDのいいところは消費電力が少ないのと熱くならないというところでしょう。でも、まったく発熱しないわけではありません。大きなパネルだったりスポットライトタイプの照明ではファンで冷やしたり、ファンがない場合は放熱器がついていて結構それが重かったりします。今回LitepanelsさんからフラットパネルタイプのASTRAとスポットライトタイプのSOLAのラインナップが出展されていました。

Litepanels ASTRA 6X Bi-Color。色温度や調光が可能でDMXにも対応しています。オプションでVマウントなどのバッテリー給電にも対応できます。

Litepanels SOLA 4。13-72°のフォーカス調節が可能なほか調光やDMXにも対応しています。色温度はデーライトです。


Sachtlerからも三脚の新製品がでていました。小型ビデオカメラ用の三脚ですね。 VITECグループには三脚のブランドがすごく多くてほかにもOConnorやGITZOなどがあります。こんなにたくさんの三脚メーカーを傘下にいれてどうするんだろうって思ってましたが、今回のNABでなんとなく棲み分けが見えてきたように思います。Sachtlerは今回新製品として出展したFSB10をみるとわかる通りSachtlerさんらしい伝統的なデザインのものでほかのラインナップも同じです。Vintenはスタジオペデスタル、OConnorは映画系、GITZOは写真用、Manfrottoは写真とビデオの三脚で常に新しい技術やデザインを取り入れている。SachtlerとVintenはENG三脚ではいまだ結構かぶってますけどね。

Sachtler FSB10。耐荷重4-12kgでパン/ティルトともに5段階のドラッグ調節が可能。カウンターバランスは10段階で、ボール径は100mmとなってます。


Vintenさんは三脚やペデスタル中心でしたが電動雲台を新製品として出展していました。電動雲台というと日本では監視カメラとかお天気カメラ用って思う人が多いと思いますが、スタジオやイベント会場とかで使うことを想定した製品です。NABでもいくつものメーカーがPTZ(Pan Tilt  Zoom)って言い方をしていて監視目的のものとはちょっと区別しているみたいです。Vintenさんは自走式のペデスタルを以前からやっていて今年も出展していたんですが、それの延長線にあるような感じです。

Vinten VANTAGE。ボール径75mmの脚に取り付け可能で、μVRCコントローラーやHDVRCコントロールシステムによるPCからのコントロールに対応しています。

おじさまがいうにはそれだけ放送局、特に地方局は大変なんじゃないかって。地方局はおもに地元のローカルな情報を扱うことが多いですが、こういうのってネットやSNSが一般的になってきた今かなり厳しい状況になっているそうで。人件費や機材、ランニングコストを極力減らしたいという状況を反映した製品ってことだそうです。そういえば海外の放送局で取材のカメラを全部iPhoneにして話題になりましたが、こういうことだったんでしょうかね。PTZを導入すればカメラマンの数は減らせるし、プリセットしたところをタッチパネルとかで指定するようにすれば誰でも操作できるし。ニューススタジオとかで常にキャスターの場所が決まっているような定型の場合は導入の価値ありってことでしょうね。

さて、日本でもこうした省力化は進むのでしょうか。結婚式場やイベントホールなどでは以前から導入されていましたが、あまり積極的な運用はされていなかったように思います。ただ、コンピュータやタブレット端末と組み合わて運用するのが普通になってきましたので、顔認識やオートトラッキングなんかと組み合わて自動的に被写体の動きに追従するとか音楽やジェスチャーを認識してスームするなんて自動化が始まるのかもしれませんね。

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2017年5月22日 掲載

ビデキンちゃんが行く ~NAB2017 キヤノン編~

昨年キヤノンさんはEOS C700を発表しましたが、今年はそのPLマウントバージョンが7月発売の新製品として出品されていました。レンズ関係ではUHD対応のDIGISUPER 27(UJ27×6.5B ISS)と2/3インチ高倍率ズームレンズHJ40e×10BおよびHJ40e×14B、10月発売のデジタルシネマ系のズームレンズCN-E70-200mm T4.4があります。キヤノンさんは今年創立80周年を迎えてるんで個人的にはXAかXFシリーズの新機種発表を期待してたんですけどね。

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現状ではXCシリーズが最初から4K対応で、XAとFXは4K対応の機種が今のところないので、いずれ出てくるとは思いますが、キヤノンさんは2020年には今とはまったく違う新しいキヤノンへと生まれ変わるって言ってますので、カメラやレンズがどういう方向に向かうのか期待したいですね。商業印刷やネットワークカメラ、ヘルスケア、有機ELや半導体のための産業機器に力を入れていくみたいなので、その絡みでなにか新しいコンセプトの製品が出るのかも。


さて、それでは新製品から順番に見ていきましょう。まずはEOS C700 GS PLです。昨年EFマウントのC700と同時に発表されたんですが、PLマウントのモデルだけ発売が延期になっていました。PLマウントのレンズも最近はレンズ情報をやり取りするための電気接点(インターフェース)が装備されているのが主流となりつつあるんですが、いくつかメーカーによって接点やコネクター、データーのやり取りの方式が違っていて、そこらへんの調整に時間がかかったみたいです。ちなみにEOS C700 GS PLが採用しているのはCookeというシネレンズのメーカーのi Technologyというものを採用しています。キヤノンさんのレンズでもCN7×17 KAS S/P1やCN20×50 IAS H/P1がこのi Technologyを採用しているのでその流れなんでしょうね。

EOS C700 GS PL。4K60p収録が可能なほか、写真のようにCodex社のレコーダーCDX-36150を装着すると最大120Pの4K RAWを記録することができるほか、最大15StopのCanon Log 2と14StopのCanon Log 3を搭載していてHDR撮影にも対応できます。PLマウントモデルなので、デュアルピクセルCMOS AFには対応していないので注意してください。

デジタルシネマというと単焦点レンズでズームレンズはちょっと特殊という感じだったんですが、最近ではズームレンズも普通に使われるようになってきたようです。カメラも小型軽量になったりして撮影スタイルも従来とは違ってビデオ的な方式で撮影する現場も多いようです。レンズもこうした撮影スタイルやカメラの小型軽量化にマッチした製品が出てきています。今回新製品のCN-E70-200mm T4.4もそうしたコンセプトを元に開発されていて、オプションの専用グリップZSG-C10を装着するとENGレンズのように使うことができるようになっています。EFマウントということもあるんですが、デュアルピクセルCMOS AFによるオートフォーカスにも対応しています。ただ、カメラは対応機種として現状はEOS C300 MarkIIとEOS C100 MarkII、EOS C700の3機種のみとなっています。シネ系のレンズなので周辺光量補正や倍率色収差補正といったメタデーター対応です。

CN-E70-200mm T4.4。EOS系のカメラだけでなくブラックマジックデザインさんなど他社のEFマウント採用カメラに対応できるよう、マウントにフランジバックの調整機構を搭載していて、プッシュオートアイリスおよび連続オートアイリスにも対応しています。シネレンズというよりENGレンズに近い仕様ですね。

CN-E18-80mm T4.4。 CN-E70-200mm と同じシリーズのズームレンズで、こちらも専用グリップZSG-C10の装着やデュアルピクセルCMOS AF対応になっています。


4K8K放送も目前になりすでに試験放送なども盛んに行われています。放送の場合デジタルシネマと違ってスタジオや中継ではセンサーサイズが2/3インチのカメラを使うのが一般的な流れになっているようで、対応レンズがキヤノンさんだけでなくフジノンさんからも出ています。今回キヤノンさんが出展した新製品のレンズDIGISUPER 27は主にスタジオでの使用を目的として開発されたレンズで、6.5mmからの27倍ズームとなっています。スタジオで使う場合中継と違って近くも撮影しなくてはならないので、最短撮影距離は0.6mになっています。ちなみに中継とかの用途の高倍率ズームDIGISUPER 86やDIGISUPER 90は3mです。ほかにもスタジオ用なので、バーチャルスタジオで必要になるエンコーダー出力に対応していたり、ズームサーボ機構の静粛性などの特徴を備えています。

DIGISUPER 27。バーチャルスタジオシステムで必要となる焦点距離や被写体位置などのレンズ位置情報を、高精度のセンサーで読み出し出力することのできる20pinコネクターを標準装備しているほか、カメラマンの思い描く操作により近づく細やかな設定が可能なズームサーボ特性を設定機能を搭載しています。


キヤノンさんはレンズやカメラだけでなくて最近はモニターも開発しています。今回のNABでもHDR対応の4KモニターDP-V2420やDP-V1710を新製品として出展していました。あと、参考出展の高輝度HDRモニターもありました。4K8Kとなるとモニターはピントの確認やプレビューなどの必要性から、撮影現場でもある程度のサイズが求められるようになったり、各種ガンマへの対応が必要だったりするので、おのずと新製品が登場したり、すでに発売した製品でもバージョンアップで対応したりで、目が離せない製品の一つといえそうです。

参考出展の30型4Kモニター。10bitとIPSパネルと18bitの画像処理エンジンを搭載しており、ピーク輝度2000nit、400000のダイナミックレンジを達成しています。

4K対応リファレンスモニターDP-V2420。HDR規格であるSMPTE ST 2084、Hybrid Log-Gammaに対応しており、HDR制作に必要なハイダイナミックレンジをリニアに表示することができます。正確な階調・色を確認することが可能なのでカラーグレーディングなどの作業にも最適ですね。

ラックマウント対応の4KリファレンスモニターDP-V1710。DC12V対応なので、中継車への搭載やフィールドなどでフォーカスの確認などで利用可能です。また、波形モニターやLogプリセット機能などを装備しています。

キヤノンさんは毎年シアターで自社の製品で撮影したコンテンツを上映していましたが、今年はブースにVRのコーナーがあってドーム状のスクリーンを横になって視聴していました。


カメラが新機種に変わってもレンズはそのまま使い回しできるっていうのがSDのころは一般的だったように思いますが、4K8Kの時代になるとイメージサイズは違うわ撮影スタイルは多様化するわでホントに沢山のレンズが出てきましたね。特にイメージサイズの違いは致命的で多少ボケるとかではなくてまったく写らない部分が出てきてしまいます。マウントも種類の分類もできないし、ほんとめんどくさい。でも、高価なレンズから安価なレンズまで選択の幅は確実に広がりました。うまく選択すればきっとピッタリのレンズを見つけることができると思います。

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2017年5月19日 掲載

ビデキンちゃんが行く ~NAB2017 ブラックマジックデザイン編~

毎年NABでたくさんの新製品を発表しているブラックマジックデザインさん今年も色々な新製品を発表していました。なかでもDaVinci Resolve 14が大きな目玉といえるのではないでしょうか。

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昨年Ultimatte社と共に傘下にいれたFairlight社のDAWがDaVinci Resolve 14にビルトインされてカラーコレクションやビデオ編集のほかにDAWの作業ができるようになりました。色々な機能が詰め込まれると使いにくくなりそうですが、ツールバーのところで、それぞれの機能を切り替え使えるようになっているので、そんなことはなさそうです。オーディオのコンソールはFairlightのころからのものでチャンネル数バリエーションで4機種用意されています。今回カラコレで使うコンソールもコンパクトなものが2機種新製品としてでています。トラックボールのある部分はほぼ同じで、ディスプレーがあるのがDaVinci Resolve Mini Panelで、ないのがDaVinci Resolve Micro PanelでこっちはUSBバスパワーでACとか外部電源を必要としません。トラックボールなどの作りは上位機種のDaVinci Resolve Advanced Panelと同様でしっかりしていますし、操作性もいいです。ちなみにDaVinci Resolve 14のパブリックベータ版が公開されていますので、興味のある方実際につかってみてはいかがでしょうか。

https://www.blackmagicdesign.com/jp/products/davinciresolve

Fairlightコンソールの48フェーダーモデル。これ以外に24と12フェーダーモデルおよびデスクトップ型の12フェーダーモデルがラインアップされています。Fairlightさんは以前ビデオエフェクトFairlight CVIってモデルを発売してビデオ機器にも手をだしていた時期があるそうです。80年代だそうですが、ライブ感覚でビデオエフェクトには時代的にちょっと早かったのかもしれません。今ならクラブとかで普通に使われていますよね。

DaVinci Resolve 14のFairlightのページ。各チャンネルには、リアルタイムの6バンドパラメトリックイコライザ ーやエクスパンダー/ゲート、コンプレッサー、リミッターといった各種ダイナミクスを搭載しています。

DaVinci Resolve 14のColorのページ。顔補正ツールによって、自動的に顔の特徴を認識して、トラッキングする機能を搭載していて、いちいち顔部分の領域指定しなくても自動認識してくれます。

DaVinci Resolve 14のEditのページ。タイムライン比較ツールで、変更個所を横に並べて視覚化し、2つのタ イムラインで異なる部分を一目で確認することができて、変更を統合することも可能。

DaVinci Resolve Micro Panel。USBバスパワー接続が可能になっていますので、ラップトップなどと組み合わせて現場での作業もスマートにできそうです。

DaVinci Resolve Mini Panel。ツールの切り替えやカラーコレクターの追加、ノードツリーのナビゲーションの設定を行うボタンだあって、LCDには、選択しているツールのメニュー、コントロール、パラメーター設定が表示されるようになっています。


スイッチャーもATEM Television Studio Pro HDとATEM Television Studio HDの2つの新製品があります。ブラックマジックデザインさんのATEM スイッチャーは本体とコントローラーがセパレートになっていましたが、今回発表されたライブプロダクションスイッチャーATEM Television Studio Pro HDはオールインワンになっていて、電源もACアダプターなしで使うことができます。DC駆動も可能になっていて車載もできますね。HDのスイッチャーですがSDにも対応していて、SDI×4とHDMI×4の合計8入力が可能です。小さいですが出力画像や音声のレベル表示ができるようにもなっています。トラックボールも採用されていて全体的によくできていますが、フェーダーがTバーじゃないのがちょっと残念かも。ATEM Television Studio HDのほうはATEM Television Studio Pro HDとできることは基本的に同じですが、1Uラックマウント2/3サイズでかなりコンパクトにできていますね。2/3ってなんか半端なきがしますが、Teranexのコンバーターサイズの機器を横に並べるとちょうど1Uのラックマウントサイズになるようになっています。HyperDeck Studio Miniで収録したり Teranex Mini Optical Fiberで画像を長距離伝送するなどこの1/3のスペースって結構利用価値ありそうですね。

ATEM Television Studio Pro HD。小さいですがソース/プログラムビデオ確認用のLCDが装備されているほか、出力はSDIおよびHDMIの2系統があってマルチビュー出力にも対応しています。

ATEM Television Studio HD。入力切り替えの8個のボタンのほか、ダウンストリームキーヤーやメディアプレーヤー、オートスイッチングトランジション用のボタンが付いています。


UltraStudio HD Miniを発表されました。これはThunderbolt 3搭載のキャプチャー&再生ソリューションで、3G-SDI、HDMI、アナログインターフェース対応で、1080p60および2K DCIまでの10-bitでの収録が可能となっています。

Thunderbolt 3搭載のキャプチャー&再生ソリューションUltraStudio HD Mini。

UltraStudio HD MiniはThunderbolt 3経由でラップトップのバッテリーから給電に対応していて、入力はSDIとアナログ入力に対応しています。


新製品としてはこんな感じでしょうか。ほかにはアップデートがいくつかあるので、紹介しましょう。

URSA Miniですが、今回B4マウントとFマウントのオプションが追加されました。ブースでは箱型のレンズと組み合わせて結構目立ってましたね。B4マウントアダプターは光学系が内蔵されていないので センサーの中央部分を使うことになりHD解像度での収録に限られそうです。また、URSA Mini ProがBluetoothリモートカメラコントロールに対応しました。iPadからアイリスや色温度、シャッター、Recなどのコントロールができます。URSA Mini Proのメモリー残量なども表示できるので、かなり便利ですね。URSA Mini ProのBluetooth対応APIおよびサンプルコードを含むCamera 4.4アップデートは6月に無償でダウンロードできるようになるそうです。

URSA MiniのマウントオプションはPLやEFなどがありますが、今回B4とEマウントが追加になりました。

箱型レンズを装着したURSA Mini Pro。どちらかというとURSA Mini Proは制作系のカメラだと思いますが、これなら中継とかにも使えますね。

ただ、この組み合わせちょっと力技っぽい感じが。もう少しスッキリと組み合わせできるようにリグメーカーさんあたりがアダプターとか発売しそうですね。

URSA Mini ProとFマウントのアダプターでニコンのレンズを装着してデモしていました。


ほかにもアップデートとしてVideo Assist 2.4アップデートが発表されています。日本語を含む10カ国に対応したほか、波形、RGBパレード、ベクトルスコープ、ヒストグラムなどのスコープをフルスクリーン表示に対応したそうです。もう一つアップデートとしてBlackmagic Duplicator 1.1アップデートにより、Blackmagic Duplicator 4KがリアルタイムH.264エンコーディングに対応したことが発表されています。現状ではH.265だと再生環境が限られてしまうので、汎用性の高いH.264での収録にも対応したそうです。

リアルタイムH.264エンコーディングにも対応したBlackmagic Duplicator 4K。


おじさまがいってましたが、ブラックマジックデザインさんってかつてのソニーのようだそうです。出差しは違いますが、ソニーはUマチックとカメラの組み合わせで放送業界に入り、1インチVTRやスイッチャー、編集機へと徐々に拡大していったそうです。その間いくつかのメーカーも傘下に入れたりしながら。ほかにもパナソニックさんやビクターさんも同じように進んで、業務用のビデオ機器でシステムを組めるようにしてきたとか。学校放送やイベントなどで使われるビデオ機器も以前はこうしたメーカーを含めていろんな製品がありましたが、最近はこの部分少し寂しくなってきました。ブラックマジックデザインがこうして機材の幅を広げて息の、はある意味いいタイミングなのかもしれませんね。

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2017年5月16日 掲載

ビデキンちゃんが行く ~NAB2017 パナソニック編~

毎年少しずつブースの印象が違ってくるように思いますが、今年は特に組織が変わったので余計にそう思ってしまうのかもしれません。今までのAVCネットワークス社が組織改編されコネクティッドソリューションズ社 になったそうです。北米のほうもそれに伴って社名が変わったそうで、おじさま曰くパナソニックのプレスカンファレンスでもだいぶ人が入れ替わってしまっていたって言ってました。

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さて、パナソニックさんといえばやはり気になるのはベールに包まれたVARICAMなんですが、ほんとコレ情報がないんですよ。Cine Gear Expoである程度形になったものが出せるようなことをおっしゃっていましたので詳細は6月までお預けということになりそうです。

こういった形で発表するのってNABでは珍しいそうで、たぶんパナソニックさんでは初めてではないんでしょうか。組織改編の話は昨年からあったんですが、実際に社名変更になったのは4月に入ってからなので、ベールに包まれたこのカメラも急遽決まったように思います。モックどころかマウントもコーデックも正確なセンサーサイズも何も公表されていないんですから。


毎年のように新製品があるということもありますが、パナソニックさんはここ数年VARICAMシリーズを大きく取り上げていて今年もCODEX社とVARICAM35のカメラヘッドを組み合わせたVARICAM PUREを新製品として出品していました。すでに昨年のIBCで発表されていたものです。VARICAM35はカメラモジュールAU-V35C1GとレコーディングモジュールAU-VREC1Gで構成されていたんですが、そのカメラ部分AU-V35C1GとCODEX社のAU-VCXRAW2を組み合わせたのがVARICAM PUREということなんですね。2年ほど前にもCODEX社のレコーダーとの組み合わせがありましたが、カメラモジュールAU-V35C1GとレコーディングモジュールAU-VREC1Gの後ろにV-RAW 2.0レコーダーAU-VREC1Gを装着する形式でした。なので、かなり全長が長くなってしまったんですが、VARICAM PUREは150mmも短くなってかなり小型になった印象です。

VARICAM35はカメラ部とレコーダーが分離できるモジュール構成になっているんですが、一体化したモデルがVARICAM LTといえますかね。今回Multi Dyne社のSilver Back 4K5と組み合わせて光ファイバーケーブルで中継カメラ的な使い方をしていました。本線や電源供給だけでなくリターンビデオやインカム、音声などの伝送が可能です。


VARICAMシリーズではないのですが例のベールに包まれたカメラのとなりにデジタル一眼のGH5がおかれていました。

新製品ということもあってハンズオンコーナーにも。カメラとしてはちょっと特殊ですが、4K対応のPOVCAMや360°ライブカメラAW-360C10、AW-HR140、屋外対応HDインテグレーテッドカメラAW-HR140、バルーンカメラなどユニークなカメラが増えてきたという印象でした。

4K対応POVCAM。29.5mmからの20倍ズームやタッチパネル操作、SDI、HDMI、IP同時出力などに対応しています。

360°ライブカメラAW-360C10。カメラ本体に4つのカメラを内蔵していてMDMI×4本で接続。本体側の機能で4台のカメラ映像を合成してHD出力できます。

インテグレーテッドカメラAW-HR140。屋外用として防水防塵になっていますが、パン、ティルトの機構を利用して防振対応になっています。ポールなどに取り付けたときに風などで揺れても静止した画像が得られます。

バルーンカメラですが、プロペラが4つ搭載されていて、飛行船みたいに移動したり1か所に静止することができるようになっています。イベントなどで使うことも想定されていて、バルーン内部に照明を入れたり、プロジェクターを入れて文字や図形をバルーンに投影できるようになっています。


カメラはほかにも4K対応の小型ビデオカメラAG-UX180やAG-UX90

4K対応の小型ビデオカメラAG-UX180。1型センサー搭載の4K60p対応。レンズは広角24mmからの光学20倍ズームを搭載しています。

カメラ関係以外にも12G-SDI対応ライブスイッチャーAV-HS8300やHD/10bitのパネルを搭載した16.5型LCDモニター、AV-HLC100

12G-SDI対応ライブスイッチャーAV-HS8300。入力の半分に10bitフレームシンクロナイザーとカラーコレクター機能を搭載しています。

ライブプロダクションセンターAV-HLC100。1M/E8入力のスイッチャーにカメラコントロール機能が搭載されていて、カメラのパン、ティルトやズームも操作できるようになっています。


パナソニックさんも取材や中継、スタジオカメラはすでに一通りラインナップをそろえていて、今年はそれ以外のカメラの新製品が多かった感じです。もちろんHDRやIP伝送、クラウドを使ったニュース取材システムなども大きく取り上げていました。この3つは今回のNABの定番といってもいいでしょうね。池上通信機さんや日立国際さん、グラスバレーさんもこの3つは取り上げていました。日本の場合は海外と状況というか制作環境が違うので少し違うような気もしますが、日本にもIPはいつかくるトレンドといえそうです。映像の伝送となるとデーターの量が大きいので高速通信環境が必要になりますが、それ以前に利用料金や料金体系などもスマホやPCなどとは違ったものが必要に思いました。

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2017年5月11日 掲載

ビデキンちゃんが行く ~NAB2017 ソニー編~

ハンディタイプのカメラからスタジオ・中継用のカメラまでソニーさんは一通りのラインナップをすでに揃えちゃった感じで、そうしたカメラを使って実際どうやって運用していくの?っていうところに重点を置いていたように思います。カメラ以外にもスイッチャーやスタジオ機器もすでに4K対応になっていますし。そこで、何が違うのかというとIPの規格が収束してきたことと、放送でのHDR規格が昨年の夏ごろに決まったことで、実際の運用に向けて機材の対応やシステムが新しくなるというところでしょう。HDRは以前からソニーさんは積極的でしたが、HDRってカラーグレーディングが前提になることが一般的なので、なかなか忙しい現場的にはムリだったのではないでしょうか。ソニーさんは今回グレーディングしなくてもいいようなソリューションを紹介していました。

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7月にPXW-FS5がV4.0にPXW-Z150がV2.0になっていずれもHybrid Log Ganmma(HLG)対応になります。フォーマットは4KはXAVC-Long 4:2:0 8-bit、HDはXAVC 4:2:2 10-bitです。

Hybrid Log Ganmma対応以外にもHDR撮影にともなう機能としてGanmma Display AssistやHistogram&Zebra機能も搭載されるようです。

Instant HDR WorkflowのコーナーではバージョンアップされたPXW-FS5やPXW-Z150で記録されたXAVCを一般のノンリニアで編集。カラーグレーディングをしなくてもHDRを利用できるワークフローを紹介していました。

昨年放送や家庭用のレコーダーとかで使われるHDR規格としてBT.2100が決まったのですが、これって4KだけでなくてHDも含んでいるんですよね。なので、4KやHD、Logなど相互に変換する必要が出てきます。HDRC-4000はそうした変換を行ってくれるコンバーターです。

HDR関係ではほかにもLMD-AシリーズのモニターのファームウェアV2.0が発表されました。これによりITU-R BT.709やBT.2020のほかDCI P3にも対応になりました。

モニターの新製品としてITU-R BT.2100のPQおよびHLG対応のBVM-E171がありました。もちろんITU-R BT.709やITU-RB T.2020、EBU、SMPTE-C、DCI-P3にも対応しています。フィールドでの使用も考えられますが視野角が広いのがいいですね。ただ、電源は12Vではなくて24Vです。

カメラ関係の新製品はUMC-S3CAという4K対応ビデオカメラがありますが、一般撮影用ではなくてVRとか360°撮影で複数のカメラを使うような用途を想定したものとなっています。なので、画像を確認するためのLCDモニターもなければ設定確認のディスプレーもついてません。

あるのは画像出力のHDMIコネクターや電源、USBおよびPC接続用のコネクターくらいでしょうか。ということで、設定とかは当然PCから行うようになっています。

記録メモリーはSDでスロットは2基備えています。記録フォーマットはXAVC Sフォーマットで最大100Mbpsでの記録が可能。4K(3810×2160)29.97P/25PおよびHD収録に対応しています。マウントはソニーEマウントで、感度は最大ISO 409600。かなり暗い所でも撮影できますね。

北米ではカメラの映像をワイヤレスで伝送することが盛んでソニーでも以前からCBK-WA100というアダプターを使ってクラウドに画像を伝送する仕組みを作っています。Ci Media Claudというコーナーではソニーが運営しているMedia Cloud Servicesを使ったデモンストレーションが行われていました。伝送した画像の確認とかはWebベースで行えるので便利ですよね。興味のある方はトライアルもできるみたいなので試して見るのもいいかもしれません。こちら https://www.sonymcs.com/ で対応カメラや使い方など紹介しています。

XDCAM Airも同じようにワイヤレスで伝送するんですが、仕組み的には放送局とかで使うようなもう少し高度な仕組みになっています。PWS-110サーバーを使って収録素材の管理やノンリニア編集との連携、ストリーミング配信などに対応しています。

カメラ以外の機材も見ていきましょう。8入力1MEスイッチャーMCX-500です。入力はHD/SD-SDI×4 / HDMI×2とコンポジット×2 、タイトル用のRGBを備えていて、USTREAMサービスに対応したストリーミング機能も搭載しています。

MCX-500はPC接続してWebブラウザから操作や設定ができます。ほかにも本体にSDカード/メモリースティック兼用スロットがあってプログラムアウトの映像音声をAVCHDフォーマットで記録することができます。

コンパクトスイッチャーMCX-500はリモートコントロールユニットRM-30BPと組み合わせて最大3台のカメラの液晶モニターにプログラム、ネクストなどのタリー表示を行うことができますが、今回NXR-NX5RのほかPXW-FS5およびファームウェアアップでPXW-Z150も対応になりました。

MCX-500と組み合わせて出展されていたフルHD60p収録に対応したカメラHXR-NX5R。昨年の夏発表の新製品ではあるんですが、HDからなのかあまり目立った展示はされていませんでした。

Thunderbolt 2インターフェースを採用のメモリーカードリーダーAXS-AR1。AXS-CR1の約4倍の高速データ転送が可能で、大容量の映像ファイルでも短時間でインジェストできます。10月発売予定。

2.5インチのProfessional SSDメディアSV-GS96とGS48。ATOMOSやブラックマジックデザインのレコーダー対応していて、転送レートは書込み550MB/s、読み込み500MB/s。週5回の頻度で全領域を書換えた場合でも約10年間の使用に耐えるそうです。

ポータブルストレージとしてグレーのPSZ-HAやPSZ-SAがありましたが、色がブラックのPSZ-HCシリーズが新製品として出ていました。読み書きとも138MB/sで1TのPSZ-HC1Tと2TのPSZ-HC2Tがありました。インターフェースはFireWire はなくてUSBのみです。


さて、ソニーさんまだまだ盛りだくさんで紹介しきれない部分もあるんですが、そろそろ次のブースへと移ろうかと思います。HDRもIPも早くから手掛けていたこともあって製品だけでなくシステムとして完成したんじゃないかと思いますね。規格も決まりこれから各国の放送局に売り込みをかけるんでしょうか。おじさまがいうには早くから製品開発するとともに規格化にも力を入れてきた結果じゃないかと。VTRがなくなった現在はVTRのフォーマットで顧客を囲い込むことはできなくなったので、そのかわりの手段じゃないかっていってましたが、どうなんでしょうか?

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2017年5月8日 掲載

ビデキンちゃんが行く ~NAB2017~

今年もいってきましたよラスベガスで開催されるNABに。いつもの年と違って今年は開催が遅いんですね。なので、昨年より気持ち暑い気がします。それでも初日は結構風が強くて乾燥していることもあるでしょうが、日陰は涼しくて心地良かったです。

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そういえば昨年もそうだったんですが、入口に警備のスタッフと一緒に犬を連れた女性が立っていました。毎年通っているいつものおじさまに聞くとテロ対策だそうで、犬は爆弾とか危険物を察知するための警備のスタッフと一緒に行動しているそうです。日本でも2020年に開催されるオリンピックでこういった警備体制にするんでしょうかね。

会場を出入りするたびに見ていたんですが、いつもきっちりと警戒していました。昨年は警備のひとはいましたが、犬は時々いない時があったんですけどね。さて、こうした厳重な警備を通り抜け早速展示会場にはいってみましょう。


今年は昨年までとは違って初日は一通りすべてのブースをまんべんなく回ってめぼしい機材に目を付けておいて2日以降詳しく見て回ろうと思います。

ということで、最初はノースホールです。ここにはNHKが8Kを中心に出展していました。昨年は中継車なんかもあってかサウスホールの奥なのに人気のあったブースです。今年は少し人数が減った気がします。8Kってもうここでしか見られないわけではありませんし、それだけ一般的になってきたということでしょうか。

8KカメラのMTF測定。今後様々なメーカーから8Kカメラが出てくることが予想され、客観的にカメラの性能を評価しようということです。

8Kというとまだ先の話ということで、2020年とか未来のリビングなんかは今までもやってたんですが、今年度版がでてました。

NHKがブースを構えるこの一角はFutures Parkというエリアになっていて韓国のUHDブースも出展しています。4Kに関してはすでに試験放送とか始めていて、関連する機器メーカーや4K対応の放送局なんかもかなりあるようです。圧縮や送信にかかわる技術的な出展などもあり、かなり積極的に推進している印象です。韓国にはLGとかサムソンといったメーカーがテレビの大きなシェアをもっているんですが、中国とか途上国も最近力を付けてきていて、価格的な競争では難しくなってきたという事情もあるようです。この点では日本が4K8Kに力を入れているのと同じような事情があるみたいです。

韓国でもすでに4Kの試験放送を始めているそうで、実際どのくらいのクオリティなのかをデモしていました。

4K8Kを含めた韓国放送のロードマップが公表されていました。これによると2018年に開催される冬季オリンピックで4K放送を2020年から2025年にかけて8K放送を開始するようです。ちょっと気になったのは2020年にVR Hybrid Broadcastingの文字があることで、NHKでは4K8Kの次は3Dを目指しているのとは違ったアプローチを考えているようです。


ノースホールにはほかにもVR Pavilionというコーナーがあって、ちょっと見た感じカメラとは思えないようなデザインの360°撮影カメラや360°撮影するために複数のカメラをセットするリグとか映像を見るためのゴーグルみたいなものが出展されています。小ぶりなブースが多いんですが、ユニークな機材が多くて見るだけでも楽しいです。

GoProをマウントできる360°撮影用のマウントを制作している360RIZE社。ブラックマジックデザインのカメラ用のマウントもありました。

8台の4Kカメラを搭載したカメラ部分Vuze VR CameraとHumaneyes VR Studioという専用ソフトをセットで扱っているvuze camera社。

360°撮影可能なアクションカメラKodakのPIXPRO。ニコンさんでも同じようなコンセプトでカメラを発売していますね。


ノースホールにはRossさんやEvertzさんなど大きなブースを構えていますが、このへんはスルーしてセントラルホールに移ることにしましょう。まずはカメラメーカーを中心に見てみましょう。最初はパナソニックさんです。ちょっといつもとブースの感じが違うような気がしますが、AVCネットワークス社からコネクティッドソリューションズ社になり、社内の体制が変わったことに関係があるのでしょうか。パナソニックではVARICAMに力を入れているようで大きなスペースを割いています。VARICAMシリーズがアクリルケースに並べられているのですが、その末席にベールがかぶせられたカメラがありました。小型軽量で大判センサーを搭載したカメラだそうで、安価な記録メディアを採用していてワークフロー全体のコスト低減が実現できるそうです。もっぱらの噂ではGH5に使っているセンサーや画像処理を使ったVARICAMシリーズのローコストバージョンのカメラではないかとのこと。だとするとマウントはMFTでSDメモリー採用でしょうね。たぶん。

ベールがかかったVARICAMシリーズに新たに登場する予定のカメラ。詳細はCine Gearで発表するそうです。


次ソニーさんですが、UMC-S3CAっていうちっこいカメラがでていました。このカメラはドローンにのせたりVRのようにたくさんのカメラを必要とする現場用のもので、記録系は内蔵されていますが画像を確認できるモニターは付いていません。レンズマウントはEマウントで、4Kのカメラとなっています。最大ISO 40960の感度をもっていて0.004 lxでも撮影かのというところがすごいかも。

UMC-S3CAはマルチカメラでの運用が前提なのでゲンロック対応となってます。メモリーへの記録とHDMI端子も装備されています。


JVCケンウッドは旧ビクターの流れであまりケンウッドの影響のある製品を表に出していませんでしたが、今回アンテナを装備した車が2台もブースに出ていました。カメラで撮影した映像をワイヤレスでこの車に伝送してネットなどに再送信するシステムです。ケンウッドは無線機など電波を扱う機器で定評のある会社なので、本領発揮というところでしょう。

JVCケンウッドWB-CELL200 Mobile Bridge。4G LTEやGPSに対応しており、複数のカメラを同時に運用することができます。


そうそう、ARRIは今回ALEXA SXT Wという新たなモデルを出品していました。これもワイヤレスで映像やデーターを送信できるようになってます。

ARRIのワイヤレス伝送を内蔵したALEXA SXT W。映像本線系とおもにコントロールの行うWi-Fiが内蔵されている。


ざっとカメラメーカーを見てきましたが、ほとんどのメーカーは映像のワイヤレス伝送に対応したカメラを出しています。国内ではいまいちですが、海外ではカメラから直接映像をワイヤレスで伝送するのが当たり前になりつつあるようです。国内ではやらない理由の一つはキャリアの料金ではないでしょうか。もっと安い料金プランができるとか使ったときに使った分だけ払えるようなプランができるといいですね。カメラメーカーも独自に動いているようなんですが、自社の製品と絡めていたり、クラウドサービスと共に使うことを前提としていることが多いみたいです。

4Kが当たり前になってくるとIP化が進むでしょうから、その時がきっかけとなってワイヤレス伝送が普及するかもしれませんが、キャリアさんたちが映像伝送に関してもう少し関心をもってくれないとダメかもしれないです。このあたり既存のキャリアさん以外に映像伝送を専門とした会社とか出てきそうですね。


最近レンズメーカーから毎年のように新製品がでていますので、レンズ関係のブースを見てみましょう。レンズの流れとしては4K対応のB4マウントレンズとデジタルシネマ系のレンズがありますが、B4マウントのレンズはキヤノンとフジノンの2社がほぼ独占状態です。4K8Kの放送に関しては日本が中心に先鞭をきっているので当然なのかもしれませんが、元々B4マウントのレンズを手掛けているメーカーがこの2社とAngenieuxくらいしかなかったというのもあるでしょうね。今までのノウハウやカメラメーカーとのつながりとかあって新規参入が難しいようです。一方デジタルシネマ系のレンズは老舗だけでなく新規参入もあり、価格的にもまさにピンからキリまであります。

キヤノンは今回スーパー35mmセンサーサイズに対応した望遠系レンズとしてCN-E70-200mm T4.4 L IS KAS Sを発表しています。フジノンからは価格を抑えた新たなFUJINON MKシリーズとしてMK18-55mm T2.9とMK50-135mm T2.9が、トキナーはVistaシリーズとして4本の単焦点レンズがありましたが、今回25mmが加わりました。新規参入組といえるシグマはデジタルシネマ用レンズSIGMA CINE LENSシリーズを出展しています。海外メーカーではAngenieuxがOptimo Style 48-130 T3をZeissがCompact Prime Cp.3のレンズラインナップを発表しています。ZeissのCompact Prime Cp.3はCp.2と光学系はほぼ同じで、カメラとメタデータをやり取りするための電気接点やコネクターを備えています。ほかにもCookeやライカのほか中国系のレンズメーカーなんかもあって正直すべてをチェックしきれない感じです。

キヤノンCN-E70-200mm T4.4 L IS KAS S。4Kカメラに対応したCOMPACT-SERVOレンズシリーズで、オプションでENGレンズのように使える電動グリップや放送用で標準の20ピンリモートなどが装備されている。

FUJINON MKシリーズMK18-55mm T2.9。Eマウント以外にXマウントのモデルも登場しました。

ZeissのCompact Prime Cp.3XDシリーズはメタデータ用の電気接点が追加された他レンズのコーティングやフォーカスのトルク、大きさ重さが若干小さくなっている。


セントラルホールにはまだまだ見るべきところが沢山あります。どんどん行きましょう。毎年NABで新製品を発表するATOMOSは今年19型画面のレコーダーATOMOS SUMOを発表しました。レコーダー部分の基本性能はSHOGUN INFERNOと同等だそうです。GoProはカメラとしては4K対応のHERO5が既に登場していましたが、ドローンが正式に再生産になりました。ドローンで有名なDJIはRonin 2というカメラサポートを発表しました。すでにOSMOやRoninなどがありますが、Ronin 2はかなり大掛かりなものとなっています。

4K収録時でもピント合わせが容易に行えるATOMOS SUMO。パネルはHDR対応で1920×1080の高輝度タイプを採用しています。

ATOMOS SUMOの裏側です。パネルが大きくなっているので、電源もそれなりに大容量なものが必要になりそうですね。オプションでVマウントのバッテリーアダプターなどが用意されるそうです。

GoProのドローンKarma。昨年発表になっていたんですが、発売を中止していました。不都合個所を解決し発売になったということでした。

Karmaのカメラマウント部分は3軸制御のジンバルになっていてHERO5をマウントするようになっています。

耐荷重最大13.6kgまでとかなり大きなカメラでも搭載可能なdji Ronin 2。カーボンファイバー製でジンバル部分を分離してクレーンや車両搭載などいろいろ使いまわしができるそうです。

dji Ronin 2のジンバルはステディカムと組み合わせ可能で、リモート制御によりカメラとオペレーターの2人で運用できるようになっています。

ManfrottoはNitrotech N8という新型のヘッドを発表。カウンターバランス機構に窒素を充填したピストンを採用しています。調節は無段階で8kgまでの耐荷重となっています。

リーダー電子はマルチウェーブフォームモニターLV5490にIPインターフェースグループオプションや12GEYEパターンオプションを出展しました。

ヘイワズームフォーカスリモコンZFC-L。ソニーやキヤノンのカメラに対応したLANCコントロールとなっています。45mmまで取り付け可能なので、パン棒以外にも装着できます。価格は1万円台後半になるようです。

ヘイワズームフォーカスリモコンZFC-Lのズームレバーは左右制御を反転させるモードスイッチが装備されていてリモコンを逆さに付けてもズームレバーが反対にならないようになっています。

ゼンハイザーMKE2 Elements。GoPro HERO4カメラ用高品質防水マイクで、GoProのハウジングの背面部分を交換して取り付けるようになっています。


センターホールには見るべきブースが沢山あるのですが、そろそろサウスホールにもいってみようかと思います。サウスホールにはブラックマジックデザインが出展していてNABではいつも新製品を発表しています。REDもサウスホールなんですが、今年は出展していないそうです。REDが登場したときは個人でも所有できるデジタルシネマカメラということで、それ以来ずっとNABに出展していたんですが、最近は他社もデジタルシネマカメラをリーズナブルな価格で発売していて以前のようにREDのアドバンテージもなくなってきたということもあるのかもしれません。REDは独自のコミュニティサイトを立ち上げていて情報交換なんかも盛んにおこなわれていますので、NABのような機材展に出展しなくなったのかもしれませんね。

ブラックマジックデザインATEM Television Studio Pro HD。1080p60までのあらゆるSD/HDフォーマットに対応しており、3G-SDI×4、HDMI×4の合計8系統に入力が可能です。

ローランドは今年新製品はなくて、ブースもセントラルホールからこっちに移っていました。V-1SDI、V-1HD、ミキシングコンソールM-5000などを出展していました。

AJAもCIONというカメラを発売していましたが、今年は出展していませんでした。その代りコンバーターなど多数の新製品を出展していました。写真は4K60p記録に対応したKiPro Ultra Plus。


だいぶ駆け足でしたが、それでも沢山の新製品が出ていたのがお分かりいただけたかと思います。全体的に今年はもう4K8Kを各メーカーともにあまり前面に打ち出していないように見受けられました。その代りHDRがカメラでも編集機でも対応をうたっていました。ITU-R BT.2100規格により4K8KだけでなくHDにもHDRが適用できるようになったことが大きいと思います。放送の現場ではカラーグレーディングなんかやってられないという現場もあるので、そうした作業を行わなくてもHDR対応で撮影できたり編集できるソリューションが各社の目玉だったといえそうです。この後は、個々のブースをもう少し詳しく見ていきたいと思います。

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2017年3月28日 掲載

ビデキンちゃんレビュー ~Zunow 0.8倍 4K対応ワイドコンバージョンレンズ WFK-95X~

昨年2月にレポートしたZunowさんのWFK-95の後継機モデルWFK-95Xが登場しました。WFK-95Xはマイクロフォーサーズセンサーと超広角24mmの両方に対応したほか、光学系をリファインしたことで、周辺解像度がアップしています。さらに、AG-DVX200のFHDモードでの光学式手ブレ補正機構. OIS(Optical Image Stabilizer)使用時のケラレを解消しているそうです。標準付属品として72mmと67mmの2個のアダプターリング(ご使用の際はどちらかを必ずつける必要があります)とセットスクリュー用のドライバー、ポーチ、角形ラバーフードが付属しています。

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72mmと67mmの2個のアダプターリングとセットスクリュー用のドライバー、ポーチ、角形ラバーフードが標準付属品となっています。

ワイコン自体の質量は520gで長さは約35mm、直径95mmというプロポーション。角形ラバーフード使用で127mmのフィルターを装着できるほか、マットボックスを使用して4x4の角形フィルターを使うこともできます。


前回はパナソニックさんの赤いカメラAG-DVX200と組み合わせてレポートしましたが、今回はパナソニックさんのAG-UX180に装着して試用してみました。このカメラのフィルター口径は67mmなので、67mmのアダプターリングをワイコンに装着します。一般的なアダプターリングはフィルターなどを装着するのと同じで、ねじ込むだけですがこれだとワイコンを外すときにアダプターリングがカメラ側に残ってしまって、ちょっとイラっとすることがありますが、このワイコンに付属のアダプターリングには固定用の小さなネジがあってワイコン側にきちんと固定できるようになっています。ただ、固定用のネジは非常に小さなネジなので、緩めすぎて外してしまい行方不明にならないように注意が必要ですね。専用のスクリュードライバーも付属していますので、別途ドライバーを購入する必要はありません。

付属のアダプターリングの固定ネジ。非常に小さなネジなので、無くさないようにしましょう。ちなみにこの固定ネジはフィルターネジに当たらないようになっているので、きつく締めてもフィルターのネジ山を痛めるようなことはありませんでした。

ワイコンなしのAG-UX180

ワイコンWFK-95Xと付属フードを装着したところ。ワイコン自体の質量は520gで長さは約35mmなので、常用ワイコンとしても良いと思います。


AG-UX180のワイド側は35mmカメラ換算でUHD/FHD時24.5mm、4K時24mmなので、0.8倍のWFK-95Xを装着すると20.3mmおよび19.2mmになります。かなりの広角になりますね。ショートズームレンズに匹敵するといってもいいかもしれません。AG-UX180のようにレンズ交換できないカメラでも超広角レンズを使った広い範囲の撮影ができます。もちろんズーム全域で使えるので常用することも可能です。では、早速撮影してみましょう。0.8倍ですが、かなりのワイド感がありますね。

ワイコン無しで撮影

ワイコンを装着して撮影


広角20mmというと歪曲が気になるところです。実際のところどの程度なんでしょうか。物理的に超広角レンズの場合歪曲と周辺光量の低下は避けられないと言われています。ただし周辺光量の低下は専用レンズの場合カメラ側で補正していることがありますので、最近のカメラではあまり気にならなくなっています。

ワイコン無しで撮影

ワイコンを装着して撮影


カメラレンズに装着するワイコンは口径が大きいこともありますが、ゴーストやフレアが発生してしまうことがあります。今回はあいにく晴天ではなかったのですが、逆光になるように撮影してみました。前回のワイコンのレビューの時と同様オリジナルのレンズと遜色ありませんでした。ゴーストやフレアはレンズ面の反射で発生することもありますが、レンズの周辺部分の反射で発生することもあります。最近のレンズは普通レンズコーティングが施されていますので、レンズの周囲での反射には要注意ですね。

ワイコン無しで撮影

ワイコンを装着して撮影


広角から望遠までフルレンジで使えるワイコンでは、広角時の描写に問題なくても望遠時に色にじみが発生してしまうことがよくあります。カメラレンズに対してワイコンを装着することで、光学性能が落ちてしまうんですね。それと二線ボケなどカメラ側で補正していることもありますが、ワイコン装着時のことまではカバーしてくれません。建物のエッジ部分や電線などを撮影するとよくわかる現象なので、高圧線を撮影してみました。これもワイコン無しと区別がつきません。ワイコン自体の光学性のはかなり優秀だと思います。

ワイコン無しで撮影

ワイコンを装着して撮影


ワイコン装着時の利点は画角が広くなるのはもちろんですが、最短撮影距離も短くすることができます。AG-UX180の最短撮影距離は約1mです。小型ビデオカメラでは、室内など引きの取れないところで撮影することも多いので、もう一歩寄りたいところです。WFK-95Xを装着すると65cmまで寄ることができるようになります。狭い室内などではありがたいですね。ちょうど梅が咲いていたので撮影してみました。

至近距離でワイコンを装着して撮影


WFK-95Xは72mmと67mmの2個のアダプターリングが付属していますので、今回使用したAG-UX180だけでなくAG-DVX200やAG-160A/130A、AJ-PX270、AG-UX90などにも装着可能です。4K解像度でも周辺まで解像度の低下もなく、フレアやゴーストも出ないので、常用してもいいですし、色々使いまわしすることができますね。

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